logo シアル酸の腫瘍マーカーとしての役割と検査方法

人間の体の中で重要な役割を担うシアル酸ですが、腫瘍マーカーとしても活用できるといわれています。今回は、シアル酸の腫瘍マーカーとしての役割や検査方法、シアル酸に関する研究などについて解説します。

シアル酸とは?

参照 https://tsubame-lab.jp/01

シアル酸とは、単糖(炭水化物の最小単位)が鎖のように連なった、「糖鎖」と呼ばれる物質を形成する成分の一つです。糖鎖の多くは脂質やたんぱく質と結合し、糖脂質・糖たんぱく質などとして細胞表面を覆っています。

シアル酸はそんな糖鎖の末端に存在し、細胞間接着や細胞分裂、細胞同士の情報伝達といった重要な役割を果たしています。人間の生命活動に深く関わる物質であることから、糖鎖はたんぱく質と核酸に次ぐ「第三の生命鎖」とも呼ばれています。

シアル酸の詳細はこちら
https://tsubame-lab.jp/effect-efficacy/595.html

シアル酸は腫瘍マーカーとして機能するか?

腫瘍マーカー検査とは、主にがんの診断を補助するために行われる血液検査や尿検査です。腫瘍マーカーは、あるがんが存在するときにつくられるタンパク質などの物質を指し、この物質があるかどうかを検査することで、がんの有無を判断するのに役立ちます。

がん細胞内では、新たに生成されたたんぱく質に糖鎖を付加するゴルジ体という器官の働きが活性化され、シアル酸が増加することがわかっています。

そして、がん細胞が血管に入ると、細胞表面の糖鎖が血管内のたんぱく質と結びつきながら移動し、正常な細胞に侵入・転移していくのです。そのため、がんの診断を補助する腫瘍マーカーとしてシアル酸を活用する研究も進んでいます。

また、シアル酸は、体内に炎症が起きると糖鎖から切り離される性質があります。そのため、感染症やリウマチ、膠原病などの炎症性疾患にかかると血中・尿中のシアル酸濃度が上昇することから、炎症マーカーとして利用されています。

シアル酸と炎症の詳細はこちら
https://tsubame-lab.jp/effect-efficacy/920.html

シアル酸の検査方法

一般的にシアル酸の検査では、比色法や酵素的分析法、機器分析法などが用いられます。

  • 比色法:試薬などで対象を発色させて、発色度合いで濃度などを測定する方法
  • 酵素学的測定法:試薬に酵素を使って、酵素反応から対象を測定する方法
  • 機器分析法:物質がもつ性質を信号化して分析する方法

最近はシアル酸の検査に必要な試薬が取り揃えられており、1時間半程度で前処理を終わらせられる検査キットもあります。

シアル酸の事例研究は?

人間の体内で重要な役割を果たし、炎症マーカーや腫瘍マーカーとしても役立つシアル酸は、さまざまな研究が進められています。ここでは、シアル酸の事例研究をいくつか紹介します。

シアル化糖鎖を介した癌の免疫抑制メカニズムの解明と利用技術の開発

産業技術総合研究所は、がん細胞に現れるシアル酸と、がんが抗腫瘍免疫を回避して広がるメカニズムとの関係についての研究を行いました。抗腫瘍免疫とは、がん細胞などの腫瘍を異物と判断し、排除するよう働く免疫のことです。

がん細胞は抗腫瘍免疫からの攻撃を防ぐために、さまざまな手段を使うことは知られていましたが、本研究によってがん細胞がシアル酸を使って抗腫瘍免疫の抑制・回避を行っていることがわかりました。

詳細は明らかになっていない部分も多いですが、抗腫瘍免疫が働かないとがん細胞が排除できないため、症状が悪化すると考えられています。

また、本研究ではシアル酸を使った免疫回避の仕組みを検討するためのモデルシステム制作のための、特殊なマウスを用いた不死化細胞(無限に増殖できる培養細胞)の樹立に成功しています。

参考文献:https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21590454/

リンパ球表面のシアル酸を介した免疫制御機構の解明

京都大学は、免疫の司令塔であるT細胞が活性化した際に、細胞表面で糖鎖が変化することに着目し、免疫応答のメカニズム解明の研究を行いました。その結果、シアル酸が免疫細胞同士の結合に変化をもたらし、免疫機能を制御する役割をもつことが解明されています。今後研究が進めば、免疫応答を人為的に制御できる可能性もあります。

参考文献:https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/archive/prev/news_data/h/h1/news6/2013_1/140120_2

自己免疫疾患とシアル酸転移酵素

生命健康科学研究所が行った研究によって、シアル酸転移酵素(糖鎖末端にあるラクトサミンのガラクトース6位水酸基にシアル酸が存在する酵素)が自己免疫疾患である関節リウマチの病状に関わっていること、またリウマチの症状がシアル酸の減少によって悪化することがわかっています。

今後シアル酸の炎症制御機能の仕組みが解明されれば、関節リウマチを始めとした炎症性疾患の新たな治療法が開発される可能性があります。

参考文献:https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2017.890666/data/index.html

脳の発達にも欠かせないシアル酸

細胞同士の情報伝達などの役割を果たし、腫瘍マーカーとしての活用も進んでいるシアル酸ですが、脳の発達にも欠かせない物質だといわれています。脳の発達とシアル酸に、どのような関わりがあるのでしょうか。

シアル酸は脳神経の形成・発達に関わっている

シアル酸は人間の体内で、とくに脳や神経に多く存在しており、脳神経の形成・発達に深く関わっているといわれています。

脳神経の形成・発達には、神経細胞をつなぐ働きをもつ神経細胞接着分子や、脳神経の維持・修復に関わるガングリオシドなどの物質が必要です。シアル酸はこれらの物質を構成する成分の一種で、神経細胞同士の接着を制御したり、神経細胞の突起(神経細胞が情報の送受信に使うもの)を伸ばしたりといった役目を果たしています。

シアル酸と脳の関係はこちら
https://tsubame-lab.jp/effect-efficacy/930.html

子どもの認知機能・学習能力の向上にも影響を与える

シアル酸は、子どもの認知機能や学習能力の向上にも関係があると考えられています。体内のシアル酸の量が乳児期に増加することに着目し、生後0~6ヶ月の赤ちゃんにガングリオシドを強化したミルクを与えたところ、6ヶ月時点で認知機能の発達が見られたためです。

また、シアル酸は、コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)という酵素の働きを活性化させる効果があります。

コリンアセチルトランスフェラーゼが活性化されると、海馬(脳の記憶形成に関わる部分)で分泌されるアセチルコリン(神経伝達物質)の減少が抑制されるため、学習機能が向上するといわれています。

シアル酸による子どもの学習能力向上についてはこちら
https://tsubame-lab.jp/effect-efficacy/870.html

まずはサプリメントなどからシアル酸を摂取してみよう!

糖鎖の末端に存在し、細胞同士の情報伝達などの役割をこなすシアル酸は、腫瘍マーカーとしても役立つとして研究が進められています。また、がんや自己免疫疾患との関係も解明されつつあり、今後新たな治療法開発などにつながるのではないかと期待されている物質です。

さらに、シアル酸は脳の発達や子どもの認知機能・学習能力の向上などにも欠かせないこともわかっており、ほかにも美容、健康に対する効果が期待できるとされています。

シアル酸は食物からの摂取も可能ですが、通常の食事では十分な量のシアル酸を摂取できません。まずはサプリメントなどの健康食品で取り入れてみるとよいでしょう。

アナツバメの巣の活用事例

シアル酸は、食材の中でアナツバメの巣に最も含まれています。

しかし、アナツバメの巣には人工的に作られた「養殖」や化学薬品を混ぜた「偽物」が市場に多く流通しています。

シアル酸を安全に取るためには、大自然の中でつくられた「天然」のアナツバメの巣を選ぶことが重要ですが、天然物を手に入れることは非常に困難です。

そのため、天然物を使っていることが保証されたサプリメントを利用したり、肌への効果を期待する場合はコスメなどを利用したりするのがおすすめです。