logo シアル酸は炎症に作用するの?シアル酸の役割とは?

細胞膜上に存在し、細胞間の情報伝達係として働くシアル酸。実は体内で炎症が起こったときにも重要な役割を果たします。今回は、シアル酸と炎症の関係や役割について解説します。

シアル酸と炎症はどういう関係がある?

まずは、なぜ体内で炎症が起こるのか、炎症とシアル酸にどのような関係があるのかについて見ていきましょう。

炎症が起こる仕組み

病原菌に感染すると、体内で免疫細胞が異物を排除するために炎症誘発性サイトカイン(炎症反応を引き起こすたんぱく質)を放出、あるいは免疫細胞を組織に移動させて炎症を起こします

また、肥満などで体内に脂肪が溜まると、脂肪細胞が分解される際に放出される飽和脂肪酸に白血球やマクロファージなどの免疫細胞が反応し、炎症性サイトカインを放出して炎症を引き起こすこともわかっています。

シアル酸と炎症の関係

先述のとおり、シアル酸は体内で情報の伝達係として働いていますが、それ以外に「レセプター」の役割も担っています。レセプターとは受容体とも呼ばれる、細胞内外で抗原(免疫反応を引き起こす物質)やホルモンなどをキャッチして結合するたんぱく質のことです。

レセプターであるシアル酸は、病原菌やがん細胞などと結合して、感染や炎症を引き起こす原因になるとされています。シアル酸には、炎症反応を起こす免疫細胞を活性化させる効果があるためです。

しかしその一方で、シアル酸には抗炎症効果があるともいわれています。シアル酸の抗炎症効果については、次項でくわしく解説します。

シアル酸の抗炎症に関する役割とは?

感染・炎症を引き起こす原因とされるシアル酸ですが、その反面高い抗炎症作用をもち、免疫を調整する役割があるとされています。ここでは、炎症が起きたときのシアル酸の役割について解説します。

免疫の働きすぎを防止する

病原菌に感染すると、免疫細胞が炎症誘発性サイトカインを分泌し、病原菌の排除を試みます。しかし、免疫が働きすぎると自分の体まで攻撃し始めるため、ある程度で抑制しなくてはなりません。

ここで活躍するのがシアル酸だと考えられています。シアル酸を認識し、結合して働くシグレックという物質が、炎症誘発性サイトカインに晒された細胞の自滅を促し、免疫機能が働きすぎないように調整します。

抗炎症作用によるアトピー性皮膚炎の症状を改善する

アトピー性皮膚炎のかゆみや炎症などの症状は、細胞や神経にあるレセプターにIL-4やIL-13などのサイトカインがくっつくことで引き起こされるものです。シアル酸がもつ抗炎症作用は、こうしたアトピー性皮膚炎の炎症を緩和すると考えられています。

高脂肪食による炎症を弱める

高脂肪食、とくに飽和脂肪酸やコレステロールが食事を摂取し続けると、免疫細胞が炎症誘発性サイトカインを分泌して炎症を引き起こします。その結果、体内で慢性的に炎症が起こっている状態になり、免疫の働きが弱くなったり生活習慣病の原因になったりすると考えられています。シアル酸は、このような高脂肪食が原因の炎症も軽減するといわれています。

大腸炎の症状を緩和する

大腸の粘膜に炎症が起こり、潰瘍などができる潰瘍性大腸炎の症状にも、炎症誘発性サイトカインが深く関わっているとされています。潰瘍性大腸炎の患者さんの腸管内では、免疫の異常によって大量に炎症性サイトカインが分泌されており、その刺激が原因で粘膜が傷ついて血便や腹痛などの症状が出るのです。

シアル酸を多く含むツバメの巣を摂取したところ、炎症誘発性サイトカインの分泌が抑制され、腸内の損傷や潰瘍性大腸炎の症状が緩和されたとの研究結果が出ています

炎症を抑制して神経を保護する

アルツハイマー型認知症は、タウたんぱく質という物質による脳の炎症や、ミクログリア(脳の組織を構成する細胞の一種)が過剰に活性化されて炎症誘発性サイトカインを分泌し、神経炎症が起こったことが原因で発症するといわれています。

シアル酸を摂取すると、炎症誘発性サイトカインの応答を抑制し、神経を保護する効果があると考えられています。

シアル酸には美容の効果も期待できる!

免疫調整や病気の症状の緩和など、さまざま効果があると考えられているシアル酸ですが、実は美容効果も期待できます。

たとえば、シアル酸は肌のハリや弾力を保つのに欠かせないコラーゲンを必要とされる場所に誘導する働きがあるため、美肌効果があるとされています。また、シアル酸には神経を刺激し、育毛を促進する効果もあると考えられています。

シアル酸は炎症の原因になり、一方で抗炎症作用もある!

シアル酸はレセプターとしての役割をもつ、炎症の原因になる物質です。その一方で高い抗炎症作用ももっており、免疫を調整する役割を担っています。また、抗炎症作用によって、アトピー性皮膚炎や潰瘍性大腸炎などの症状緩和の効果があるとも考えられています。

さらに、コラーゲンを必要な場所に誘導するなど、美容効果も期待できる魅力的な成分です。健康や美容を維持したい方は、ツバメの巣などのシアル酸を多く含む食べ物を日々の生活に取り入れるなど、シアル酸を積極的に摂取する生活を心がけてみるとよいでしょう。

アナツバメの巣の活用事例

シアル酸は、食材の中でアナツバメの巣に最も含まれています。

しかし、アナツバメの巣には人工的に作られた「養殖」や化学薬品を混ぜた「偽物」が市場に多く流通しています。

シアル酸を安全に取るためには、大自然の中でつくられた「天然」のアナツバメの巣を選ぶことが重要ですが、天然物を手に入れることは非常に困難です。

そのため、天然物を使っていることが保証されたサプリメントを利用したり、肌への効果を期待する場合はコスメなどを利用したりするのがおすすめです。