logo 体内で重要な役割を果たす糖鎖とシアル酸の関係とは?構造を詳しく解説

人間が生きていくのに必要な成分はいろいろありますが、「糖鎖」や「シアル酸」も非常に重要な役割を果たしています。今回は、シアル酸と糖鎖の関係や構造、役割などについて解説します。

糖鎖とシアル酸とは

糖鎖は「第三の生命鎖」とも呼ばれる、生物の生命活動において重要な役割をもつ物質です。糖鎖とシアル酸の関係を理解するために、これらの構造について見ていきましょう。

細胞表面を覆う分子「糖鎖」の構造

糖鎖とは、単糖(糖質/炭水化物の最小単位)が複雑に絡み合い、鎖状になった物質のことです。糖鎖のほとんどは体内でたんぱく質や脂質と結合し、糖たんぱく質や糖脂質などとして細胞表面を覆い、細胞同士の情報伝達や物質のやり取りなどを行っています。

生命活動において非常に重要な役割を果たしていることから、核酸(DNA・RNA)・たんぱく質に次ぐ「第三の生命鎖」とも呼ばれています。

そんな糖鎖を形成する単糖には、シアル酸やグルコース、ガラクトースなどさまざまな種類があり、結合している単糖の種類や個数、結合方法などによって糖鎖の構造が変わります。

糖鎖を形成する「シアル酸」の構造

糖鎖を形成する単糖の一種であるシアル酸ですが、シアル酸に分類される物質は50種類以上あります。そのたくさんのシアル酸のうち、人間がもつのは「N-アセチルノイラミン酸(NANA)」というシアル酸です。

9つの炭素原子からなるNANAは、分子内にアミノ基とカルボキシ基(アミノ酸を構成する有機化合物)を有しており、5位のアミノ基がアセチル化(有機化合物内の水素原子がアセチル基に置き換わる)されています。

まれに人間の体内に、「N-グリコリルノイラミン酸」という、ネズミや豚などの哺乳類がもつシアル酸が存在することがありますが、正常な組織では見つかることはありません。そのため、免疫機能で異物として扱われ、抗体が作られます。

シアル酸を含む糖鎖「シアロ糖鎖」は細胞間接着、情報伝達などを担う

参考 https://tsubame-lab.jp/01

構造中にシアル酸を含む「シアロ糖鎖」は、生命維持に関わる重要な役割を担っています。ここでは、シアロ糖鎖の役割についてくわしく解説します。

生体制御作用としてのシアル酸の役割

構造の末端にシアル酸が存在するシアロ糖鎖は、細胞間接着や細胞分裂に必要な情報のやり取りといった、生体制御の役割を担っています。

人間の体は細胞分裂によって細胞を増やしたり、分化によって細胞に何らかの役割を与えたりと、細胞同士がくっついている状態を維持しておかないと、各組織や器官が構築できません。つまり、細胞間接着や細胞分裂に関わるシアロ糖鎖は、生命維持に欠かせない物質だということです。

参照 https://tsubame-lab.jp/01

また、シアロ糖鎖は人間の免疫にも深く関わっているといわれています。体内に菌やウイルスなどの外敵が侵入すると、免疫細胞はサイトカインと呼ばれるたんぱく質を分泌し、外敵の情報を伝達します。シアロ糖鎖の末端にあるシアル酸はウイルスを感知し、そのサイトカインの取り込みを担当していると考えられているのです。

さらに、免疫細胞に働きかけて活性化させたり、免疫を調整したりする役割も果たしているといわれています。

炎症やインフルエンザウイルスのマーカーとしての役割

シアル酸は医療の分野において、炎症やインフルエンザウイルスのマーカー(目印)の役割も果たしています。

たとえばインフルエンザウイルスは、感染する際に糖鎖の末端にあるシアル酸を狙ってきます。そして、ノイラミニダーゼ(シアリダーゼ)という酵素を使ってシアル酸を切断し、新たな個体を増やそうとするため、シアル酸が遊離します。

そのほかの感染症や関節リウマチなど、何らかの炎症性疾患になった場合にもシアル酸が遊離して高値を示すことから、マーカーとして活用できるのです。

シアル酸が多く含まれるのは細胞膜・唾液・母乳

先述のとおり、シアル酸は細胞同士の情報伝達や免疫に深く関わっている物質です。そのため、全身でシアル酸が見られますが、とくに脳・神経などの細胞膜に多く含まれています

また、唾液中にもシアル酸が多く見られます。唾液中のシアル酸の役割について明確にわかってはいません。しかし、唾液中の「結合型シアル酸」の量が多いほどインフルエンザにかかりにくくなるとの実験結果があることから、ウイルス感染を抑える効果があると考えられています。

そのほか母乳にもシアル酸が多く含まれています。生まれたばかりの赤ちゃんは、免疫機能や体内でシアル酸を合成する機能が未熟です。しかし、シアル酸を含む母乳を飲むと、口の中や喉、消化管などに菌やウイルスが付着しにくくなり、抵抗力が増すといわれています。

シアル酸を含む糖鎖は生命活動に欠かせない分子

糖鎖とは、たんぱく質や脂質と結合して細胞を覆っている物質です。そしてシアル酸は、そんな糖鎖を形成する単糖の一種です。糖鎖を形成する単糖はシアル酸以外にもいろいろあり、結合している単糖の種類や数などによって糖鎖の構造が変わります。

さまざまな糖鎖のうち構造中にシアル酸を含むシアロ糖鎖は、細胞間接着や細胞分裂に必要な情報のやり取りなどを担っています。また、免疫細胞が分泌するサイトカインの取り込みや免疫細胞の活性化、免疫機能の調整などにも深く関わっており、生命活動に欠かせない物質です。

これほど重要な役割を担っているにもかかわらず、糖鎖やシアル酸の名前すら聞いたことがないという方も多くいます。糖鎖やシアル酸は生命活動だけでなく、美容や健康にも関連があるので、この機会に知識を深めてみてはいかがでしょうか。

アナツバメの巣の活用事例

シアル酸は、食材の中でアナツバメの巣に最も含まれています。

しかし、アナツバメの巣には人工的に作られた「養殖」や化学薬品を混ぜた「偽物」が市場に多く流通しています。

シアル酸を安全に取るためには、大自然の中でつくられた「天然」のアナツバメの巣を選ぶことが重要ですが、天然物を手に入れることは非常に困難です。

そのため、天然物を使っていることが保証されたサプリメントを利用したり、肌への効果を期待する場合はコスメなどを利用したりするのがおすすめです。

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