ツバメの巣に発がん性があるって本当?ツバメの巣に関する健康への影響を探る!
ツバメの巣は、美容や健康によいとして最近人気が高まっています。しかし、ツバメの巣が海外で採取されるためか、安全性が心配されています。そこで、特によく聞かれるツバメの巣と発がん性の関連や、どのような成分が含まれているのかを調査しました。
ツバメの巣に発がん性はあるのか?ツバメの巣とがんの関係
食べ物に「発がん性物質が含まれているかも」と言われれば誰でも気になります。ツバメの巣はどうなのか、現状を見ていきましょう。
偽物のツバメの巣にがんにつながる恐れがある物質が含まれていた事例あり
ツバメの巣の美容・健康効果は古くから知られており、現代でも高級食材として珍重されています。そのため偽物や養殖物も少なくありません。2011年には、亜硝酸塩という物質を用いて本物に見せかけた業者が摘発されました。 亜硝酸塩は主に発色剤として使われる食品添加物の一つです。人間の体内で発がん性のあるニトロソアミンの生成につながる恐れがあることが指摘されているため、使用量が制限されています。 ただし、発がん性との直接的な関連は立証されていません。さらに、亜硝酸塩が使われていたのは、偽物のツバメの巣であることも理解しておきましょう。
本物のツバメの巣の発がん性は確認されていない!
本物のツバメの巣とは、オスのアナツバメが唾液だけで作り上げたものを指します。2024年3月現在、発がん性は確認されていません。 一方で、その栄養素には目を見張るものがあります。たとえば、シアル酸やEGF(上皮成長因子)などの栄養成分を豊富に含んでいます。 シアル酸は免疫機能に不可欠な糖鎖を構成する栄養素の一つ(糖鎖栄養素)です。ツバメの巣は8つの糖鎖栄養素のうち、シアル酸をはじめとする6つの栄養を含んでいます。糖鎖は細胞の表面に存在し、生体内のさまざまな機能に関与しているとされる重要な物質です。 また、EGF(上皮成長因子)は、人体にもともと備わっているタンパク質で、肌のターンオーバーや再生に関わっています。
がんへの効果も期待できる!
本物のツバメの巣には発がん性が確認されていないばかりか、がんへの効果が期待できるという研究結果もあります。 あらゆる生物の体内には、抗菌ペプチドという、抗菌作用があるアミノ酸の塊が存在しています。抗菌ペプチドにはさまざまな種類があり、中には抗がん作用を持つものもあります。 研究では、ツバメの巣に含まれるシアル酸は、抗菌ペプチドとがん細胞(研究では乳がんの細胞)を結合しやすくしたり、抗菌ペプチドががん細胞(乳がんの細胞)を攻撃しやすくしたりするという結果が出ました。 参考 Yang-Yang Han, et al., Role of glycosylation in the anticancer activity of antibacterial peptides against breast cancer cells, Biochemical Pharmacology, Volume 86, Issue 9, 2013, 1254-1262.
本物と偽物はどうやって見分ける?
中国ではツバメの巣の需要が高く、取り引きが盛んです。しかし、流通しているものの9割は偽物か真贋がはっきりしないと言われています。 また、民家の屋根裏や都市部の廃ビルに、録音した鳴き声でアナツバメをおびきよせて巣を作らせる「養殖物」も少なくありません。ツバメの巣であることは確かですが、汚染された空気による影響や、栄養分の不足が懸念されています。 こうした偽物や養殖物と天然物を見分けるのはプロの乾物商でも困難です。消費者にはまず分かりません。 そのため、ツバメの巣を取り入れる場合は、現地での採取許可や天然証明書を取得しているメーカーのものかどうかといったことを確認してから購入しましょう。
本物のツバメの巣の健康効果は?
続いて、天然物のツバメの巣にはどのような健康効果が期待できるのかを紹介します。スーパーフードと呼ばれる理由をチェックしてみましょう。
免疫細胞の活性化
ツバメの巣の健康効果として、まず免疫細胞の活性化が挙げられます。 免疫とは、人間の体に備わった防御機能です。細菌やウイルスなどの異物が侵入すると、さまざまな免疫細胞が攻撃したり、抗体を作ったりして対抗します。異物の情報を正確に伝えるのも、免疫細胞の一種です。 なかでもB細胞は、異物が侵入した時に抗体を産生して対抗する細胞です。再度同じ異物が侵入した時のために、記憶するのもB細胞の役目です。 ツバメの巣には、これらB細胞を活性化する働きがあるとされています。 そのほか、抗がん剤や免疫制御剤に使われるシクロホスファミドによる腸の免疫損傷も軽減するという研究結果も出ており、今後の活用の可能性が期待されています。
免疫力の調節
免疫細胞への情報伝達は、細胞表面に存在する糖鎖を通じて行われます。そのため、糖鎖に異常があると細菌やウイルスを攻撃できないだけでなく、自分を攻撃してしまう恐れがあるのです。花粉症、アレルギー、リウマチなどの自己免疫疾患は、糖鎖の異常が一因とされています。 糖鎖が正常に働くには、シアル酸などの糖鎖栄養素が重要です。ツバメの巣は、健康食品として評価の高いローヤルゼリーの約200倍ものシアル酸を含んでいます。免疫力の調節にも、ツバメの巣は有効といえるでしょう。
ツバメの巣は実際にどのように売られている?
ツバメの巣は、中華料理ではスープやデザートとして提供されることが多いですが、最近では健康食品として、ゼリータイプ、ドリンクタイプ、サプリなどが販売されています。 このような製品は、ツバメの巣の成分以外にも美容や健康に嬉しいビタミンなどの栄養素が添加されているものも多いため、より幅広い効果が期待できるかもしれません。
本物のツバメの巣を選ぼう!
本物のツバメの巣は稀少性が高く、流通量が限られています。そのため、流通しているツバメの巣の中には偽物や養殖物も少なくありません。 過去には、がんにつながる恐れがある物質が含まれているものが見つかったこともありました。粗悪なツバメの巣を用いた製品は、発がん性とまではいかなくても、健康被害につながる恐れがあります。 安いからと原材料や原産国が明記されていないようなものを購入するのもおすすめできません。安全性を確保するために、信頼できるメーカーのものを選び、本物のツバメの巣を取り入れましょう。